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先の戦いの後、旅に必要な品を購入して二人は逃げるようにシクシャの街を出た。
広場の騒ぎも、武道場のその後もどうなったかは知りようがない。
幸い広場はあれだけの恐持てが揃っていたので、一般人は端から回りにはいなかった。
騒ぎに気付いた頃には日も陰っている上、皆、遠目からしか姿を見ていない。
どちらにしろ、ガルンにとっては些細な事柄に過ぎない。
どちらかと言うとアクア・ペンタグラムと呼ばれた魔獸の方が気になっていた。
あれではクフルが人間種を悪性と罵っても仕方が無い。
「ガルンはさ……、なんか人間は軽く見てるけど、他の種族には寛容だよね?」
カナンの言葉にガルンは視線を左上に上げて考える。とくにそんな自覚は無い。あるとすればクフルに出会って存在を認識出来るようになった為かと不思議がった。
「……そうかな?」
「そうだよ。今も亀の心配って、いってる意味がよく分からないよ」
「……?亀よりカナンの体調のが心配だけど?軽く嫉妬?」
その言葉にカナンは軽く赤くなってから、ガルンの頭を小突いた。
「そっ、そんな事をいっているんじゃ無いからね! 無いんだからね!」
騒ぐカナンにすいませんと平謝りする。
軽いジョークは金髪紅眼の少女のお気には召さなかったようだ。
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