第六章 連鎖する悪夢 #2

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「神信教典・旧伝……」 禁書書庫置場にあった、黒い革製の本を見たのをカナンは思い出した。 確か内容は創世神話の話しだが異世界文字を知らない少女にはただの印しの羅列でしかない。 「その話の神とやらは全知全能の存在とされている。そいつはワールドオブエデンと言う世界を作り、本能しかない生命体を作りあげた。その中の一種に人間がいた。その世界には、何故か自己を認識する識の実を宿すセフィロトの精霊を配置し、それを食べてはいけないと言う律を作った」 「……?」 「まあ、間はすっとばすが、結果、蛇にそそのかされた人間は識の実を食べて、自身を認識し自我を得た。そして、律を破った人間はワールドオブエデンを追放されて、別世界に追いやられる事になる」 不思議そうにこちらに視線を向けるカナンを見て、グラハトはニヤリと笑った。 「何か疑問は?」 グラハトの言葉にカナンは手を上げた。 「疑問だらけで、どこをつこっんで言いのか分からないよ父さん」 「父さん言うな!ムズカユイ。せめて親父って言え!」 「そこツッコムんだ……」 ゴホンとグラハトは咳ばらいをすると、もう一度疑問は?と繰り返した。
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