第六章 連鎖する悪夢 #2

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「その世界を作ったのが神様なら、なんで食べちゃいけない識の実を作ったのかが1番分かんないかな? 分かんないかな? 初めから作らなきゃいいのに。それなら誰も食べない。それに蛇は何で食べるように薦めたの? 自分だけが食べちゃったから?」 「流石カナン!いい着眼 点だ。この話にはおかしな点がいろいろある。 本能しかない生命には律を説いても意味が無い。何故なら空腹時に食べ物をただ食べるのが本能だからだ。そして蛇と呼ばれるモノ。そいつは何故食べるように仕向けたのか? どちらにしろ識の実にしろ、蛇にしろ、結果は『全知全能の神』とやらなら“既に識っていたはずの結果”だ。それに何の意味がある!」 グラハトの鼻息が荒い。エキサイトしている……と言うより怒りに震えている。 「……?」 「俺が闇側に組したのはそこだ。納得の上さ。この世界は初めから仕組まれたイレギュラーを呼ぶための箱庭だと言うことだ!」 そう言うとグラハトは捨て鉢に笑い出した。 その姿がやけに淋しそうだったのを思い出す。 グラハトが言いたかった事とは……? 今でもカナンにはよく分からない。 ただ、それが過去のグラハトが闇側に沈んだ理由の一つと言う事は確かだ。
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