第六章 連鎖する悪夢 #2

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違う価値観を持った人間。 何かが見えている人間。自分が知らない世界の秘密を知った人間。 統べからず何か危うい。 ガルンもグラハト同様、何かそちら側に堕ちそうな危うさがある。 カナンにはその嫌な予感が常に纏わり付く。 ガルンは“向こう側”向きの人間だと。 カナンは首を振った。 その嫌な予感は払拭しなければならない。 今ならまだ修正が可能な気がする。 「俺に言わせるとさ、カナンは人に優し過ぎる……人間に」 ガルンの言葉でカナンは我にかえった。 自分が無言で考え事をしていたのに気が付く。 「なんて言えばいいのかな?なんかミクロ的なんだ。それは。世界に溢れる命は沢山だ。本当に沢山だ。俺は……その総ての命が同じぐらい大切だと思う。だから……人間だけをえこ贔屓はしない」 「……マクロ的?なのかなガルンは?」 「よく分からない……でも、人間の負の感情は他種族を大きく引き離して凶悪だ。おっさんが言っていた意味がようやく分かった気がする」 ガルンは岩山の上でグラハトが語った言葉を思い出した。 人間の可能性の話を。 今なら、あの話しには何か深い意味があったのかも知れないと感じる事が出来る。 しかし、何を伝えたかったのかは釈然としない。
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