第六章 連鎖する悪夢 #2

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(グラハトは……何を知ったんだ?何を知っているんだ?) 疑問が頭を過ぎる。 見上げる空に、混じって黒い粉が見えた。 「灰……?」 風に流れて微かに焦げる異臭がする。 慌てて前方を見つめた。 遠目に煙りが見える。 何かが燃えている。 普通に考えれば山火事だが、方向はアジトに一直線だ。 微かに響く爆音がする。 煙がもう一条立ち上がった。 「なんだ……?」 嫌な胸騒ぎがチリチリと胸を焦がす。 「カナン歩けるか?」 そう言うとガルンは素早く、しかし、やんわりとカナンを下ろすと魔剣を受け取った。 「だ…大丈夫。でも何か嫌な感じがする。何か……」 カナンが酷くやつれた感じがしたが、今はそれ処では無い気がした。 「先に行く。まさかとは思うけど戦闘になってたらカナンは隠れてろ!」 そう言うとガルンは駆け出した。 右肩の傷を確かめる。 なんとか動くレベルだ。 カナンには強がって見せたが経った二日で完治するわけもない。 幽体喰いをすれば話しは早いのだが、カナンの前ではそんな事をする気にもならない。 痛みは無視できるが、本来の60%ぐらいしか使えないと判断して舌打ちする。
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