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精霊の眼に切り替えて、数キロ先の黒煙付近に感覚を延ばす。
ガルンはビタリと足を止めてしまった。
「なっ……なんだこれは?!」
余りに淒烈な光輝に眼が眩む。
まるで太陽が地上に降り立っているような異常なオレンジ色。
規模と神聖さならクフルを越えている。
こんなものには、お目にかかった事が無い。
その傍に月のように寄り添う白い光芒。
回りには何人もの人の気配もある。
そして、弱々しく揺らめく黒い歪み……
(この気配はグラハト?!)
グラハトを数人の人間が囲んでいる。
囲んでいる奴らには見覚えがあった。
シクシャですれ違った白い甲冑の連中の気配だと気がつく。
しかし、その中に騎馬の先頭二頭に乗っていた、存在変質していたチャクラ開放者の気配を感じとれ無い事に違和感を覚える。
(……違う。あれだ……あれが奴らだ)
燦然と輝くオレンジ色の太陽。
静謐に佇む白い月。
あれが奴らの昇った階段、いや“成れの果て”だと実感する。
「くっ!!」
足が動かない。
恐怖や畏怖のせいでは無い。
聖なるモノを敬うような、崇める存在に清真を悟らせられるような。心理的な充足感と畏敬の念。
それが足をすくませる。
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