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第六章 連鎖する悪夢 #2
港町シクシャを出てから二日がたった。
ハラロ渓谷を抜けた現状の位置からならアジトにしている岩山まで目と鼻の先である。
広陵たる山々の姿が故郷を連想させる。
あの時以来、廃れた村には足を運んでいない。
仇をとった今なら村に戻り、姉の墓碑に報告に行けるとガルンはふと思った。
あれからカナンは歩けるまでに体調は快復したが、全快には程遠いコンディションであった。
霊体への負荷もかなり酷い。
歩けると言い張るカナンを無理矢理諭してガルンは背負って山道を登っていた。
魔剣を背負ったままでは少女を背負えないので、ダークブレイズは背中のカナンが背負っている。
長すぎるのも問題と言える。
始めはお姫様抱っこだったのだが、途中で急にカナンが嫌がりだしたのだから仕方が無い。
「そう言えば……カムイの奴に亀の事頼んできちまったけど……大丈夫かな?」
「カムイ?」
ガルンの呟きに聞き慣れない名前が出て来て、カナンは疑問を投げかけた。
まだ、背中は広くないなーなどと考えていたので無意識の言葉である。
「武道場で知り合った拳闘士だったんだけど、賞金全部やるから亀を元いた場所に戻してやってくれって頼んだんだ。どうなったかは……分からないけどな」
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