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「やはり……見切られているか」
ガルンの剣がびくともしないことにクライハルトは些か驚嘆する。
「ならば!」
直ぐに左手をガルン目掛けて伸ばす。
その動きに気付いて、ガルンはチラリと背後の金髪騎士を見つめる。
「天羅・空(うつほ)」
クライハルトの声と同時に、ガルンはアルダークの正面に“投げ出されていた”。
一瞬の浮遊感。
距離は30メートルはあったはずだ。
「……!」
目の前の騎士団長が奇っ怪な大剣を振りかぶる。
陽光を凝縮したような翼の剣。
大剣の刀身は奇妙な翼に成り代わっていた。
頭上からの一撃を魔剣で受け止める。
踏ん張った足が地面に沈む。
まるで数トンの衝撃を受けたような威力にガルンは眼を細めた。
痛めた両肩と左腕には負荷がかかりすぎる。
この重い一撃を後二、三回も受ければ、先にどちらかの腕が、最悪両腕が使い物にならなくなる。
常軌を逸した威力。
チャクラ+神霊力のエンチャント(魔力付与)だけでは説明が付かない。
剣自体が異常な存在に成り代わったようだ。
「たいした剣だ。翼命剣を受け止めるとは。これは天使で構築精製された存在兵装。存在力が無い物質は砕け散る」
存在質量兵器。
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