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「これは……面白い。生身の人間とはとても思えんな」
アルダークはニヤリと笑う。何か悦が入っている様に思えてクライハルトは苦笑いした。
その様を観ながらも金髪騎士はアルダークと同じく翼命剣を顕在化させる。
こちらは銀光を集めた、重々しい鈍い金属で出来た翼の様だ。
どちらかと言うとこちらのが剣として見れる。
その剣から銀の羽を一枚剥ぎ取ると、ガルン目掛けて投擲する。
ガルンが剣を構えると、羽は急角度で下を向くと地面に突き刺さった。
クライハルトは左の掌を刺さった羽に向ける。
それを目の端で捉えたガルンの眼光が輝く。
「天地・転!」
クライハルトの声と、ガルンが大きくバックステップを刻んだのは同時だった。
「!!」
遠くで小石がパラパラ落ちる音がした。
ガルンはゆらりと銀翼剣の騎士を見る。
「お前の『空間転位』にはかからない。貴様の空間移動は軸が必要だろ?」
鋭い眼光を受けてクライハルトの顔が強張る。
ガルンがはじめ勘違いした能力は瞬間移動。
それは空間ごと移動した金髪の騎士の動きと酷く似ている。
勘違いするのも当然であった。
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