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第七章 蒼刃と信者の国 #2
半刻ほど立つと、神父服の男が三人監獄に入って来た。
一人は50歳前後の小男。
深いシワと長い鼻が印象的だ。
一見、森の妖精族のノームに見える。
残り二人は神父服がはち切れそうな屈強そうな男だ。明らかに何等かの戦闘訓練を積んでいると分かる。
「いいか小僧、これから貴様の異端審問を行う。言われた事を素直にYesと答えればいい。神の慈悲は深い。“言っている意味”は分かるな?」
ガルンは無言で答える。
小男はフンと鼻を鳴らすと、他の二人にガルンの拘束具を外して、鎖つきの手枷と足枷を付けるよう命じた。
二人が作業を始めると、小男は再び独り言のように喋り出した。
「これから審判の壇と呼ばれる部屋に移動する。そこには一人、一人、5人の審問官が貴様に審問を行う。それら審問官の内、三人が貴様の罪を許せば救済条項が適用される」
「……?多数決かよ。偉く偏った神様だな」
「死にたく無ければ無駄口は叩くな。この国は多神教国家だ。ディアポス十二神の内、審問は地和神ガテナ、戦律神アレスマキア、愛染神アプロシア、智慧神メティーモュネ、法暁神コメステルの神官が務める」
ズラズラ並べられた言葉の羅列にガルンは目を白黒させた。困惑するガルンを無視して話しは続く。
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