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「戦律神アレスマキア、智慧神メティーモュネはこちら側だ。愛染神アプロシアはどんな屑でも救済する“愛狂い”だ。全てYesでいい。これで安全圏だ。後は地和神ガテナ、法暁神コメステルの二つだが、この二つは厄介な事に再審権を持っている。地和神ガテナは元神権限で。法暁神コメステルは全ての法律に口を出せる権限のためだ」
「そんなに色々言われてもワカンネェ~よ。分かりやすく言え分かりやすく」
げんなりするガルンを見て、小男は眉間に手を当てた。
やれやれと呟く。
「貴様はこの大陸の人間では無かったな。ようは地和神ガテナと、法暁神コメステルの審問には一切回答しなければいい」
「……?!無視?」
余りもの単純な理由に面食らう。
「どちらも厄介な神官だが、回答が記載書に載らなければどうにでもなる。いいな、絶対に回答するな?」
念を押すと小男は出ていった。
ガルンは四日ぶりに自由になった体を伸ばしながら、
「了解」
と言って片手を上げた。
手足の枷を繋ぐ鎖にはかなりの余裕がある。
ガルンは二人の神父に連れられて、ようやく牢獄を出た。
外は罪人の塔と呼ばれるだけあって、緩やかな円状の廊下を挟む全てが牢獄であった。
建物自体が古いためか、石作りのほとんどの壁が黄ばんでいる。
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