187人が本棚に入れています
本棚に追加
廊下を抜けると、そこには踊り場があり階段があった。
そこに着くまで、一つも窓が無いことに驚く。
脱獄防止用なのか、何か意味があるのかは謎だ。
階段を五階層程昇ると、階段の終点である大広場に出た。
どんよりとした、くすんだ光の下層と違い、こちらはやけに眩しい。
いくつか窓も見える。
この階層にはやたら警備兵が多く、所処の部屋の前に必ず二名いるので、かなり物々しい事この上ない。
チラリと窓の外に目をやる。
(……なるほど。窓が無いはずだ)
外に拡がる庭園を見て苦笑いした。
色とりどりの植物、透き通る程澄んだ噴水。
“一階から見る風景”がそこにあった。
罪人の塔と言いながら、牢獄部分は全て地下にあるのだ。
この建物は地下に向かって作られた、逆さまの塔の型をした建造物でしか無かったのである。
5分程度進むと北部ブロックに目的の部屋があった。
警護しているのが兵士では無く、見慣れない翠色の鎧をきた騎士なのが別格と示している。
小男はその前で止まると
中に入れと促した。
室内は至ってシンプルな作りであった。
正面奥に大テーブルと椅子が。その左右に一回り小さいテーブルと椅子がある。
そして、中央には円台がある。そこがどう見てもガルンの指定席だ。
後はひたすら白い。
最初のコメントを投稿しよう!