第七章 蒼刃と信者の国 #2

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廊下を抜けると、そこには踊り場があり階段があった。 そこに着くまで、一つも窓が無いことに驚く。 脱獄防止用なのか、何か意味があるのかは謎だ。 階段を五階層程昇ると、階段の終点である大広場に出た。 どんよりとした、くすんだ光の下層と違い、こちらはやけに眩しい。 いくつか窓も見える。 この階層にはやたら警備兵が多く、所処の部屋の前に必ず二名いるので、かなり物々しい事この上ない。 チラリと窓の外に目をやる。 (……なるほど。窓が無いはずだ) 外に拡がる庭園を見て苦笑いした。 色とりどりの植物、透き通る程澄んだ噴水。 “一階から見る風景”がそこにあった。 罪人の塔と言いながら、牢獄部分は全て地下にあるのだ。 この建物は地下に向かって作られた、逆さまの塔の型をした建造物でしか無かったのである。 5分程度進むと北部ブロックに目的の部屋があった。 警護しているのが兵士では無く、見慣れない翠色の鎧をきた騎士なのが別格と示している。 小男はその前で止まると 中に入れと促した。 室内は至ってシンプルな作りであった。 正面奥に大テーブルと椅子が。その左右に一回り小さいテーブルと椅子がある。 そして、中央には円台がある。そこがどう見てもガルンの指定席だ。 後はひたすら白い。
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