第七章 蒼刃と信者の国 #2

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入室してから四分の一刻程が経過した。 立っているのが面倒なので、ガルンが円台によりかかっていると、ようやくドアを開いて二人の人間が入室してきた。 神官と言うより騎士に近い出で立ちの、白髪の初老近い男が一人。 かっちりした服装に、眼鏡を掛けた女性が一人。こちらは手に何やら書類らしき物を携えている。 ガルンは老人が正面のテーブルに、女性は右のテーブルに座るのを目だけで追った。 「さて、私は戦律神アレスマキアの神官セドレド。彼女は書記官のテアーユ孃だ」 老人の言葉にガルンは二人を交互に見つめる。 「このやり取りが後四回も続くのかよ」 ふてぶてしい少年の態度に老人は雄々しい笑みを浮かべる。 「まあ……そうなるな。だが、今は君の人生の大きな岐路だと思った方がいい。厳粛に受け止める事を勧めする」 「……」 沈黙を肯定と取ったらしく、神官は話しを続ける。 「では審問を開始するとしよう。君は大層な力を持っているようだが、それを人の為に使う気はあるかね?」 仕組まれた詰問が始まった。 ガルンはやはり躊躇したが、NOと答える理由も無い。素直に乗る方がやはり得策だと判断する。 「……ああ」 すんなり出ない答えを気にした風もなく質問は続く。
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