第七章 蒼刃と信者の国 #2

5/14
前へ
/35ページ
次へ
「その力を神の為に使う事も可能かね?」 「……?可能だ……」 「力ある者は、その力に責任があると思うかね?」 「……ある」 「その力を悪しき者には、躊躇いなく振るう意思を持つ」 「ああ。悪性は嫌いだ」 「戦いは自らの正義をなす証明だと思うかね?」 「……?ああ」 「君は過去の過ちを悔いている」 「……ああ」 その言葉で老人は豪快に笑った。 意味が分からずガルンは眉を寄せる。 「審問はこれで終わりだ。君の武力が戦律神アレスマキアと共に在らん事を祈る」 そう言うと老人は席をたった。 「終わり……?」 ポカンとするガルンに、書記官の女性が、 「今後の返事は『はい』に統一しなさい」 と言ってそれに続く。 最後に老人が、ガルンを見てニヤリと笑うと、 「人生は戦いの連続だ。戦う事を放棄した人間から死んでいく。嫌な事でも戦いを放棄しないことだ」 と言って部屋を出て言った。 「なんだ……今のは?」 二人が出ていったドアをガルンは半眼で見つづけた。 それから、再び四分の一刻程経つと、今度は軍服のような服装の男が二人入って来た。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

187人が本棚に入れています
本棚に追加