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「その力を神の為に使う事も可能かね?」
「……?可能だ……」
「力ある者は、その力に責任があると思うかね?」
「……ある」
「その力を悪しき者には、躊躇いなく振るう意思を持つ」
「ああ。悪性は嫌いだ」
「戦いは自らの正義をなす証明だと思うかね?」
「……?ああ」
「君は過去の過ちを悔いている」
「……ああ」
その言葉で老人は豪快に笑った。
意味が分からずガルンは眉を寄せる。
「審問はこれで終わりだ。君の武力が戦律神アレスマキアと共に在らん事を祈る」
そう言うと老人は席をたった。
「終わり……?」
ポカンとするガルンに、書記官の女性が、
「今後の返事は『はい』に統一しなさい」
と言ってそれに続く。
最後に老人が、ガルンを見てニヤリと笑うと、
「人生は戦いの連続だ。戦う事を放棄した人間から死んでいく。嫌な事でも戦いを放棄しないことだ」
と言って部屋を出て言った。
「なんだ……今のは?」
二人が出ていったドアをガルンは半眼で見つづけた。
それから、再び四分の一刻程経つと、今度は軍服のような服装の男が二人入って来た。
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