第七章 蒼刃と信者の国 #2

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「まあ、まあ、まあ、こんな少年が可哀相に~」 そう言いながら、樽女はガルンが驚く程のスピードでにじり寄ると、豊満なバストに無理矢理頭を押し付けた。 「……?!!!」 「私は愛染神アプロシアの神官、ミミルクよ!貴方を必ず真っ当な世界に返して上げるわ!」 声にならない絶叫を上げるガルンを無視して抱擁は続いた。まるで万力のような力で体を締め付ける。 ガルンはまるで助けを求める様に神官の肩を叩いた。 アイパッチの美女が仕方なさそうに窒息しそうなガルンを引きはがす。 「ミミルク様、何時も言いますが抱擁は適度の力加減でお願いします」 「あらゴメンナサイ、神の愛を一億分の一でも伝えたくて」 あらあらと呟くふくよかな神官を見て、書記官は溜息を吐いた。 ガルンの方はあらゆる意味でびっくりしていた。 体の傷が全快していないので体のあちこちが痛い。 色々な感情が渦巻くが、悪意は感じなかったので良しとする事にガルンは決めた。 しかし、悪意が無くても、小さな親切、大きなお世話と言う言葉がある。 何故か樽神官は切々と神の慈愛とやらを語り始めたのである。 一刻程時間が経過した。 げんなりするガルンを見かねたのか、書記官が話しに割って入った。
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