第十章 忌み子の姫 壱詞

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ガルンは被弾覚悟で魔剣を振りかぶった。その時、耳をつんざく咆哮が大気を震わせた。 弾丸が瞬時に冷却される。 驚愕して目を剥いたのは クロックワードだった。 ガルンの目の前を覆うように現れた影は、弾丸を化勁で綺麗に後方に受け流す。 凍結されている為に爆散はしないようだ。 「龍勁機甲・波濤天掌!」 撃ち出された見えざる気功が左右の魔人を吹き飛ばす。 「護る戦いは、とことん不向きな様だな貴君は」 ニヤリと笑う鰐顔にガルンは苦笑する。 目の前に立つ竜人は、ゆっくりと半身になって構えを取る。 「恩は拳で返そう」 白き銀嶺はそう言うと、再び雄叫びを上げる。 ぎょっとして、横にぶざまにクロックワードは飛びのいた。 ロックリボルバースパイダーが、パリパリと音を立てながら凍りついていく。 竜の咆哮による、ドラゴンロアーだ。 鋼の蜘蛛は緩慢な動作で逃げ出そうとしたようだが、その眼前に竜人が踊り出る。 「龍勁機甲・破山崩衝!!」 床を打ち砕く踏み込みと共に、低い姿勢から肩を鋼の蜘蛛の首下にぶつける。 大地を震わす轟音と共に、鋼の蜘蛛はいとも簡単に砕け散った。 まるで硝子細工を砕くようなお手軽さである。
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