忌み子の姫 序詞 #3

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「それ(合気)は、さっき見たぜ!!」 振り抜かれるガルンの妖刀。 鉄壁な筈の竜の鱗と、気の壁は裂き砕かれた。 骨付近まで斬り裂かれた腕の痛みを気で緩和しながら、白き銀嶺はガルンの身体に一瞬で構築された気の流れを見た。 頭のてっぺんから床に根を張ったような、巨木のような正中線を通る気の柱。 (この人間?!) ガルンは一度バランスを崩された事から、チャクラの一つをバランス維持に努めさせていたのである。 直ぐさま上段斬りのモーションから、下段斬りに切り替わる凶刃。 (面白い!) 白き銀嶺はニヤリと笑ったようだった。 チャクラコントロールにより強化された水の刃は、圧縮、高速回転させた最強の凶刃である。 加圧され、高速で射出された水は岩盤すら容易に切断するのだ。 正しく抜き身の刃。 それが振るわれる中を、竜人は躊躇なく踏み込む。 (何?!) ガルンは驚愕した。 今までの敵は防御が役に立たないと分かった途端、距離をとろうと後退して来たのである。 捨て身の一撃に瞬間に切り替える強敵に、出会って来なかった甘さが出た。 カウンター。 右胴体に吸い込まれる強打。
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