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第十一章 憎悪の灯と祈りの調べ #2
ヒュペリアの言葉から、慌ただしい理由は直ぐに予想がついた。
王城襲撃からパリキスの拉致までと、騒がれる理由は盛り沢山だった筈である。真実は告げられなくとも王都が警戒強化されたのは火を見るより明らかだ。
仕方なくガルンは、昨日の出来事をかい摘まんで説明し始めた。
勿論パリキスの事は部外秘なので、そこだけは告げずに王都転覆を狙う、魔神崇拝の組織の殲滅作戦だったと語る。
パリキスの事以外は全て真実なので、白き銀嶺の方が少々驚く。
これだけ包み隠さず話しては、情報漏洩も何もない。
「ふ~ん。相変わらず人間は権力とか下らないものに固執するわね」
「他に何か方法は無かったのかな……」
二人の感想が虚しく響く。
国を変えるには、民衆を味方につけるしか方法は無いに等しい。
テロでは何の解決にもならないのだ。
「それじゃ、貴方はそいつらに捕まって操られていたと?」
「そう言う事だな」
ヒュペリアの問いに白き銀嶺はばつが悪そうに呟く。
悪事の片棒を担ついたのだから仕方がない。
「……? 貴方はかなり強そうですが、捕まってしまったんですか?」
カナンの疑問は最もだ。ガルンも気になったのか、表情が少し変わる。
「この国の外交は難くてな。情けない話だが、話をするためのツテを紹介してくれると言われて、のこのこついて行った先で捕まってしまったのだ」
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