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ヒュペリアがビクリと震えた。持っていたカップを、落としそうになったのをギリギリ支える。
「冥鬼竜クオンカーナム……! 世界を喰い尽くす竜、神喰いの龍と呼ばれた神代の魔竜! 冥界と内蔵器官が繋がっているとされ、世界一つを飲み込む化け物って聞いた事がある……お伽話と思ってたけど……」
「それを倒すか再封印するには、封印を破らねばならない……。現在封印中の禍に対して。それでは余りに間抜けであろう?」
白き銀嶺が苦笑いを浮かべるのも当然だ。
封印はまだ解けていないのに、封印が解ける事を危惧して自ら封印を解くではあべこべだ。
「確かにアホね。封印が解けるまで対応準備時間にするのが常道ね」
ヒュペリアが半眼で即答する。当然だ。
完全封印か、完全に倒す方法が無いのでは意味が無い。
「竜王たちは、蘇るであろう冥鬼竜に対抗するため身動きがとれない。……よってこちらの禍は 、こちらの住人が対処せねばならないのだ」
「それを伝える為の旅……。だが、この大陸の連中はそれを信じないって事か!」
ガルンの言葉には険がある。
だが、白き銀嶺が言っている事は自然災害……火山のようなものだ。
何も実績も無い人間が、後数年に火山が噴火するから気をつけろと騒いでいるのを、どれだけの人間が真摯に受け取めるだろうか?
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