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「脅威に対抗するためにも、空中都市に住まうとされるライトエルフの民にも協力を願いたい」
「……無理だと思う」
白き銀嶺の視線を、ヒュペリアは逸らしながら答えた。
顔に申し訳ないと書いてある。
「自分で言うのもアレだけど、ライトエルフはエルフの中でも学者肌で変わり者でプライドが高い。それに閉鎖した国で生きているから、外界の世事に興味が無いんだよ。四十年前の魔邪大戦も無視決め込んでたしね。ほぼ高確率で協力要請は無駄かな?」
その言葉で白き銀嶺は絶句した。
この大陸に住む、種族達の協調性と関心の無さはひど過ぎる。
頻繁に起こる戦争で疲弊しているとしても、協力に答えてくれた種族は数種のみだった。
意気消沈する白き銀嶺を見て、カナンは太陽のように微笑んだ。
「大丈夫だよ! まだ先の話だよね? これから少しづつ協力者を探せばいい! それに……」
チラリとガルンを見る。
「私たちは協力するしね!」
それを見てガルンは肩を竦めて、小さく苦笑いを浮かべた。
自分がカウントされている所が、いかにもカナンらしい。
(どちらにしろ、カナンの身体が完治しなければ 動けない……。だが、逆に言えばカナンの傷が治った時が動き時だ)
ガルンは小さくほくそ笑んだが、それには誰も気がつかなかった。
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