第十一章 憎悪の灯と祈りの調べ #2

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ラインフォートからの緊急呼び出しを受けたのは、それから二週間後だった。 執務室に入ったガルンを待ち受けていたのは、不機嫌そうなラインフォートと、白い甲冑とマントを羽織った少女だった。 マントに付いているマークには見覚えがある。 その少女を見て、ガルンは怪訝な表情を浮かべた。 (……? 今更何のようだ) 「ゼロ?」 「王宮近衛騎士団のアズマリア“殿”だ」 ガルンの呟きにラインフォートが答える。 目の前にいる少女は、姫奪還作戦に参加したゼロに間違いは無い。 「今は、“アズマリア”だ」 淡々と喋る顔には、何故か怒気が見える。 「今日一日、貴様は王宮近衛騎士預かりになる。アズマリア殿の命令に全て従え」 不思議がるガルンにラインフォートも淡々と用件を告げる。 ガルンは舌打ちするとラインフォートに向き直った。 「前任務の、魔道書“魔喰教典”絡みの報告書。今日までだろ? 書き終わってねぇーんだけど」 ガルンの物言いに、ラインフォートは苛々気に机を叩く。 「そんなものは後回しでいい! 貴様は命令に従え!」 ガルンは露骨に嫌そうな顔をした。 一文の得にならないのだから仕方が無い。 特に最近はカナンの治療に見合う功績を上げられていないのが尾を引いている。
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