第十三章 王宮の騎士

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「反対反対はんたぁ~い!! なんでそうなるかな? 意味分かんないかな」 不機嫌なカナンの声が部屋中に響き渡った。 ティリティース邸の何時もの居間である。 座っているのはガルン、カナン、ヒュペリアの三人だ。 ティリティースは仕事に、白き銀嶺は辺境区の種族に預言を伝えに行っている為、留守にしていていない。 ガルンは旅仕度並の装備をしていた。 「約束でさ。ちょっと姫さんの護衛をやってくる」 「だ・か・ら! それで何で王宮近衛騎士団の入団試験に行く事になるのかな? なんでかな?」 「だから、免罪符の礼に姫さんの護衛をちょいとやってくるだけだよ」 「御礼が護衛って、何でそうなるのかな? 意味分からないよ!」 ガルンは疲れた顔でヒュペリアを見たが、ココアをチビチビ飲んでいるエルフは助け船を出す気配は無い。 「王宮近衛騎士団に入るのは、色んな意味で価値がある」 「価値~?」 膨れっ面のカナンはまるで子供のようだ。 自称お姉さんの影も形も無い。 「第一に姫さんの希望に添える。それで俺は借りを返せる。第二に白き銀嶺の訴えている預言を、上層部に伝えるチャンスが作れるかもしれない。第三に天翼騎士団の動向が探れる」
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