第十三章 王宮の騎士

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最後の一つにヒュペリアは眉を寄せた。 「天翼騎士団の動向って何で?」 当然の疑問だ。 この国の人間ならば天翼騎士団の偉大さと強さは熟知している。 神誓王国メルテシオンは数多くの戦力を有するが、取り分け有名なのが天翼騎士団である。 宗教国家なだけあって、天使を従える姿に信奉者も多い。 隣国でも戦場にやたらめったら現れる、黒鍵騎士団と天翼騎士団は有名だ。 「まあ……ほら、白き銀嶺の預言を、お偉いさんよりは伝え易い位置にいるかなと」 「確かに、頭の固そうな権力者や貴族連中よりはマシかもね」 フムフムと唸りながらココアを啜る姿は、かなり愛らしい。 しかし、カナンはあからさまに嘘だなと、見破った顔をしていた。 「それなら私も王宮近衛騎士団になっちゃおうかな? 」 「そいつは無理だ」 カナンの提案を、ガルンは直ぐさま否定した。 「王宮近衛騎士団の試験自体を、一般人は簡単に受けられない。面倒くさいんだよ」 ガルンは嫌そうな顔で、手でストップをかけた。昨日、王宮近衛騎士団の吸血鬼、アズマリアのもとに訪れた時の事を思い出す 。 「本当に来るとはな。厚かましい奴だ」 やたら豪奢な待合室。 城壁区分の第一と第二で、ここまで造りが違うと詐欺に近く感じる。 そこで、言葉の内容とは裏腹にアズマリアは愉しそうに待合室に入室してきた。
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