第十三章 王宮の騎士

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「あんたに会うのに半日近く待たされたんだが……」 ガルンは半眼でアズマリアを睨み付けた。 そんな視線はどこ吹く風で、アズマリアは長椅子に腰掛ける。 「これでも副団長なのでな。多忙で仕方が無い」 「副団長? あんた吸血鬼だろ。結構、長生きなはずだ。団長じゃないのか?」 ガルンは訝し気にアズマリアを眺める。 長生きと言っても、外見は少女なのだから普通は違和感を覚える所だ。 しかし、感性のズレたガルンはものの本質を存在の光で判断する。 ガルンにして見れば、逆に団長では無い方が胡散臭いのだ。 「団長ではいろいろと動きづらい。かと言って、ある程度の箔が無いと他国では動きづらい。副団長と言うのが一番融通が利くのだよ。まあ、実質団長は我だがな」 しれっと言うが、傲岸不遜な態度は既にトップの貫禄がある。 団長では姫強奪事件のような不足な時に、直ぐに前線には出づらい。 かと言って他国に国賓として出掛けるときに、随伴で制限を受けない立場で無くてはならない。 そこで副団長と言う立場が一番都合が良いのだ。 (年の功と言うやつだな) ガルンは小さく皮肉に笑う。 しかし、アズマリアはそれを見逃さなかった。 「何だ、今の笑いは」
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