第十三章 王宮の騎士

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「深い意味はないよ」 ガルンは手を振って否定する。 アズマリアは一瞬眉間に皺を寄せたが、気にせずにガルンに一枚の洋皮紙を手渡した。 植物皮だ。珍しい品と言える。 「推薦状だ。それが有れば、どこの馬の骨でも王宮近衛騎士団の入団試験に参加出来る」 「入団試験? 直ぐに入れる訳じゃないのか?」 ガルンは推薦状を食い入るように眺めた。 「王族直属だぞ? 得体の知れない奴がホイホイなれる分けがあるまい? 試験を受けるのにも条件がある。王宮近衛騎士団員の推薦状を貰うか、各騎士団の団長の推薦状がある場合。後は王家ゆかりの者に直に念書を頂くケースのみだ。姫様が掠われた事は非公式だからな。姫様の念書など貰える分けがない。なので我が代わりだ」 「成る程。こいつが無いと試験すら受けられないと」 「推薦状とは、言わば後見人がいる事の証明だ。推薦人に何か非が有れば、後見人も責任に問われる事になる。覚えておけ」 微妙に嫌そうなアズマリアの顔が印象に残った。 「まあ、推薦状が無いからカナンは試験も受けられないってオチさ」 その時のアズマリアの表情を思いだしながら、ガルンは苦笑した。 実績の何も無いカナンでは、城門すら入れない可能性が高い。 それだけ城の警備レベルは高いと言える。
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