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「それに、カナンには白き銀嶺の手伝いをしてやって欲しい。強いと言っても単身だからな。やばい地域や種族もいるはずだ」
「……」
「白き銀嶺に協力するって約束したろ?」
その言葉でカナンはようやく観念した。
相変わらずカナンの過保護ぶりは変わらないと、ガルンは顔をほころばす。
「まあ、ガルンが試験に受かるとも限らないしね」
ヒュペリアが人が悪そうにニヤリと笑う。
「確かに、その可能性も捨て切れないもんね」
何故かカナンも嬉しそうに同意する。
「やれやれ……」
ガルンは呆れつつ、肩を竦めて小さく首を左右に振った。
するとカナンがするりとガルンの顔元に寄ってくると、小声で呟いた。
「天翼騎士団の動向って、親父の敵討ちじゃないよね?」
カナンの言葉に鼓動が跳ね上がる。
「この国を出て、故郷に戻るとしたら障害になる可能性がある。それを見極めるためだよ」
引き攣って答える。
グラハトの怨恨は、心の底で燻っているのは事実だ。
しかし、正面から戦えば、本当に国との戦いに成り兼ねない。
グラハトとの約束を優先するならば、これ以上カナンを巻き込む事態は避けたいのが本音だ。
今は復讐よりグラハトと白き銀嶺、そしてパリキスへの誓いと約束が優先だと判断する。
ガルンは燻る殺意に静に蓋をしたのだ。
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