第十三章 王宮の騎士

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神誓王国メルテシオンは巨大な外周壁、そして市民区や貴族区など様々な場所で巨大な壁で括られており、王城も三層の強固な城壁で守られている。 黒鍵騎士団のような罪人や傭兵崩れは、本来、外周壁である第三城壁までしか近寄れず、数々の騎士団や魔法師団も中央の第二城壁までしか入場が許されていない。 最後の第一城壁にはテンプルナイツや、パラディンで構成された神聖騎士団、そして天翼騎士団が入場が許されている。 王城自体には王宮守護隊と呼ばれる僧兵師団と、虎の子の王宮近衛騎士団の二つの戦力だけが駐屯していた。 国としての守備力、戦力は列国でも最大と言われるが、王宮内部は広さに反比例して戦力が少ない。 これは聖職者だらけの多神教国家の妙なジレンマであり、それぞれの信教勢力の部隊を中枢に置け無い為に起こったあしき風習と言える。 王宮守護隊は各十二神教それぞれの選別者などで構成された混成組織であり、そため、足並みが揃いにくく瞬発力に欠ける。実質少数精鋭の王宮近衛騎士団だけで護っているようなものだ。 その為、パリキス強奪時の様に城内にまで手引きされると、王族全ての護衛に付かなければならないデメリットが発生する。城内には十二神教の各神殿が置かれており、それが全て他神教不可侵の聖域になっているのが更に質が悪い。移動による領土侵犯すら気にしなければならないのだ。 前回の王宮近衛騎士団の失態は、戦力の分散を強いられた結果と言えよう。
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