第十三章 王宮の騎士

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派閥争いの影響を受けない王宮近衛騎士団は、王城防衛の最大戦力であり、王族を守護する最強戦力である。 本来直ぐさま増強を行いたいが、それには信頼にたる、清廉性と戦闘力、そして人間性が求められるのだ。 その為、試験合格は狭き門であり、王宮近衛騎士団に入団できる数は極めて少ない。 アズマリアにお前はとにかく受かれ、と理不尽な命令をガルンは授かっていた。 王宮近衛騎士選別試験は、王宮内に設えられた訓練場で執り行われる。 本来、それなりの階級の者以外入場も許されないので、この時ばかりは破格の待遇と言えよう。 ガルンは初めての王宮入りに、少しばかり興奮していた。 アズマリアに渡された推薦状を提示すれば、殆どの関門はスルーである。面倒な身分照会の時間も必要としない。 悠々自適に城を闊歩するのは、実に爽快である。 ガルンは正門とはいかないが、西門の第二通路から王宮に招き入れられた。武器の携帯を許された事に少々驚く。 関門の警備隊員に聞いてみると、 「こちらで持てないような巨大な武器や、無手の人もいるので、預かる方がデメリットが多いんですよ」 と、苦笑していた。 関門から、案内人らしき女官に連れられて通路を進む。 王宮は絢爛豪華と言うよりは、質素な教会のような作りだ。
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