第十三章 王宮の騎士

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通路を進みながらガルンは拳を握りしめた。 (落ち着け。今はどのみち無理だ。同時にあれだけの戦力とは流石に戦えない) ゆっくりと深呼吸をすると、ガルンは真横をチラリと見る。 「あのまま戦っていたら、“あんたも”介入して来るよな?」 ガルンの言葉を、案内人の女性は不思議そうに聞いた。 回りには誰もいない。 ガルンは真横を見据えたままだ。 「マジかよ。やっぱりお前、見えているようだな? 意味わかんねぇーな」 何も無い空間から声がする。 ガルンが一度瞬きをすると、そこには白い騎士が立っていた。襟首には天秤と籠の紋章がある。 紫色の短髪の下に、ニヒルな笑顔が張り付いている。年は三十頭辺りだろうか。 「お前、半年前、城壁の上でも俺の能力に気がついていたよな? パリキス姫と会っていた時だ」 「あんたが妙なカモフラージュ術を使っていたのか? あの時、あの場に六人は別の人間がいたよな?」 紫髪は目を丸くしてガルンを見つめた。 ガルンは身じろぎもしない。 逆に案内人が挙動不審になり始めた。 「あの……、えっと、誰とお話になっているんでしょうか?」 女性は気味が悪そうに辺りを見直した。“ガルン以外誰もいない”。 ガルンは案内人を無視する事に決めた。
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