第十三章 王宮の騎士

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「確かに……全く分からないな」 ガルンは素直に認めた。 この国に入ってから学んだ事は、実はかなり少ない。 殆ど黒鍵騎士団としてしか活動していなかったので、当然言えば当然である。 「武道派にしてみれば、王宮近衛騎士は天翼騎士に並ぶ、この国1番の憧れの職さ。騎士になった奴は皆そこを目指す。どちらもなるには狭き門で、年に一回ある試験に受かった奴だけが入団出来る」 「今日はその年に一度の日だったって事か?」 ガルンはいきなりアズマリアに明日来いと、言われて驚いたのを思い出す。 年に一度しかないタイミングに合ったと言うならば、それはかなりの幸運と言える。 しかし……。 「いんや、違うぜ? 今日は予備日扱いだ。それも昨日いきなり決まった。まあ、副団長の横暴だな」 紫髪はニカッと笑いながら、サラリと告げる。 ガルンは軽く当惑した。 「予備日?」 「試験には各騎士団団長の推薦を貰った、騎士在籍者が多いからな。任務中でタイミングが合わない奴もいる。そんな奴の為の救済処置だ。だけど、いきなり開催される事になったのはそいつらもビックリだろうぜ」 ガルンは半眼でアズマリアの顔を思い出した。 パリキスの為なら道理も強引に引っ込めるタイプである。
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