第十三章 王宮の騎士

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案内人に通された控室はやたら豪華なモノだった。 控室と言うより簡素な客間に近い。 そこには二人の騎士らしき者がいた。 赤い騎士甲冑を身につけた壮年の男と、銀の騎士甲冑の青年だ。 メルテシオンには十五の騎士団が存在する。 天翼騎士団や黒鍵騎士団もその一つだ。 目の前の赤騎士は紅蓮騎士団。銀騎士は白金騎士団の人間であろう。 二人はガルンを一瞥しただけで身じろぎもしなかった。 ガルンは観察するように二人を見ていたが、直ぐに近場の椅子に腰掛けた。 「こいつらは駄目だな。今回のチャレンジャーと大差ない」 紫髪はつまらなそうに呟いた。 ガルンの後方の壁に背を預けているが、分かっているのはガルンだけだ。 「今回? 受かった奴はいるのか?」 ガルンの呟きに二人の騎士は訝し気に視線を向けるが、面倒なので無視する。 静まり返った室内では、独り言は目立ってしょうがない。 「今回は残念ながらゼロだな。黒鍵騎士団から来た赤い服の奴は惜しかったがな。あいつは四票止まりだった。同じ騎士団だ、知ってるか?」 「……該当する奴に覚えがある」 ガルンは赤い服からアカイを連想した。 アズマリアがアカイを顎で使っていたのは、試験で面識があったからだろう。
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