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案内人に通された控室はやたら豪華なモノだった。
控室と言うより簡素な客間に近い。
そこには二人の騎士らしき者がいた。
赤い騎士甲冑を身につけた壮年の男と、銀の騎士甲冑の青年だ。
メルテシオンには十五の騎士団が存在する。
天翼騎士団や黒鍵騎士団もその一つだ。
目の前の赤騎士は紅蓮騎士団。銀騎士は白金騎士団の人間であろう。
二人はガルンを一瞥しただけで身じろぎもしなかった。
ガルンは観察するように二人を見ていたが、直ぐに近場の椅子に腰掛けた。
「こいつらは駄目だな。今回のチャレンジャーと大差ない」
紫髪はつまらなそうに呟いた。
ガルンの後方の壁に背を預けているが、分かっているのはガルンだけだ。
「今回? 受かった奴はいるのか?」
ガルンの呟きに二人の騎士は訝し気に視線を向けるが、面倒なので無視する。
静まり返った室内では、独り言は目立ってしょうがない。
「今回は残念ながらゼロだな。黒鍵騎士団から来た赤い服の奴は惜しかったがな。あいつは四票止まりだった。同じ騎士団だ、知ってるか?」
「……該当する奴に覚えがある」
ガルンは赤い服からアカイを連想した。
アズマリアがアカイを顎で使っていたのは、試験で面識があったからだろう。
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