第十二章 凍れる雨夜の星 #2

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ラインフォートが裏でかなりあくどい事をしてきたのは誰でも察しがつく。 狙われる理由はごまんとあるだろう。 しかし、それを容易に行う戦力はそうそうあるとは思えない。 ガルンは軽い安堵と喪失感に戸惑いを覚えた。 誓いの一つは、こうしてあっさり失ったのだった。 それから半日後。 夕暮れが、辺りを朱く染めている時間帯にガルンはティリティース邸に着いた。 庭では軽く蝶白夢を振るうカナンがいる。 「任務ご苦労様!」 「ああ……」 明るく迎える姿を、ガルンは歯切れの悪い返事で返した。 カナンが首を傾げる。 「何かあったのかな? あったりしたのかな?」 「いや……たいした事じゃ無い。それより置いて行った妖刀はどんな感じだ?」 ガルンはカナンの手に視線を移した。 蝶白夢はカナンの頼みと、任務の兼合いでティリティース邸に置いていったのだ。 今回のガルンの任務先は大河であり、相手は水属性の眷属だった。 同じ水属性の武器は相性が悪い。 そして、カナンがダークブレイズのような精神喰いの魔剣を振るうリハビリにと、刀を貸してくれと頼んで来たからであった。 その刀がラインフォートの血を吸ったとは、ガルンは露ほども思ってはいない。
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