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第十三章 王宮の騎士 #2
魔法陣から黒い針が撃ち出される。
針と言っても、人間にして見れば投擲用ジャベリンに近い。
仕方なく、チャクラの一つを脚力に回して回避運動に入る。
撃ち出された針は八つ。
七ツまでは避けたが最後の一つが体に迫る。
攻撃力に捕われ過ぎて、回避にチャクラを一つしか回さなかったツケだ。
舌打ちして、ダークブレイズで針を打ち払う――事は出来なかった。
「!?」
魔剣を摺り抜けた針は右脇腹を貫通した。抜けた針先は地面に突き刺さる。
ガルンは激痛に顔を歪めながら、刺さった針に眼を移した。
薄平面の黒い針には見覚えがある。
どこぞの任務で見た平面猫だ。
(こいつ! もしかして)
ダークブレイズを赤い炎まで落として、針に翳すと針は見えなくなった。
身体をずらして片膝をつく。
ずらした地面の先には、黒い針が刺さったままだ。
「影で出来た槍かよ?」
「違う違う“闇の針”さ。このダークメルトドラゴンは闇属性の魔龍さ! 攻撃の大半は闇属性。闇は空間を凍結させる。ちなみに物理防御は効かないよ?」
「空間干渉?!」
停止した空間は光が反射しないため闇となる。
逆に言えば闇とは空間を限りなく静止する力を持つ属性なのだ。
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