第十三章 王宮の騎士 #2

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対人戦闘には役立つものの、邪眼のランク自体はそれ程高いものでは無い。 精神抵抗の高い者には効きにくく、破られる割合も高いのだ。 触れた者の精神を、有無も言わさず浸蝕汚染する、妖刀“蝶白夢”や、千眼の魔神の魔眼に比べるとワンランク落ちると言えよう。 しかし、このような尋問等に使うには覿面な能力と言える。 アズマリアは深淵眼を使って、ガルンの記憶をゆっくりと読み解いて行く。 次第に美しい柳眉が歪み始めた。 (なんだコイツは……。 この極端な聖性側と邪性側との接触率は? それに聖性の属性を持ちながら闇の力を振るっている?) ガルンの過去は凄惨な部類には入る。だが、アズマリアが見て来た人間達には、もっと悲惨で鮮烈な人生を送って来たものも少なくない。 しかし、クフル、グラハト、天翼騎士団、千眼の魔神と、これだけ神性側と魔性側に接触した人間は少ない。 魔性に侵されながら、完全無欠の聖性側のパリキスも接触を持った一人と言える。 「考え過ぎか……」 アズマリアは静かに呟く。 アズマリアのガルンの見解は、性格はいびつだが人格には問題無いと言う結論であった。特に術に掛かった様子も無い。 引っ掛かるとすればグラハトの存在である。 闇の担い手が与えた、魔性の技。 滅陽神流剣法。 これは明らかに異常で特異で異質なモノだ。
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