第十三章 王宮の騎士 #2

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ガルンは動こうとして、立ち止まった。 右脇腹の傷は深い。 人間の身体は、構造的に骨の無い箇所の筋肉を断絶されると、力が全く入らなくなる。 チャクラの一つを回さなければ身動きがとれない。 (まずい! チャクラ六つでは、黒色の炎は可能でも純黒までは届かない) ダークブレイズを握りしめて舌打ちする。 純黒のダークブレイズの滅びの力ならば、触れさえすればドラゴンの身体すら易々焼き尽くすだろう。 しかし、黒色では一撃で倒すのは不可能だ。 仕方なく、煙幕がわりに蒼炎を黒龍の頭目掛けて撃ち放った。 ガルンの戦いを見ていたパリキスが、そわそわしているのに真横の騎士甲冑の老人は気がついていた。 「フム。姫が珍しく選別試験を観覧したいと御所望だったのは、あの少年目当てですかな?」 パリキスはこくりと頷く。 戦いに目がいってるためか返事は無い。 老人は顎の髭を摩りながら、フムと頷く。 「あの少年が例の救出作戦の立役者ですか。良い眼と体捌きをしている。しかし……判断は悪い」 その呟きにパリキスは老人に目を移した。 何か落ち着きが無い。 「それはどう言う意味かや?」 「ドラゴンと戦うには火力が足りませんな。あのような戦い方は天翼騎士団のような破壊力が必須。対人戦闘向けの人間は、的を人間に絞って戦うのが常道。それを履き違えている」
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