第十三章 王宮の騎士 #2

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「あの者の……ガルンの戦略は間違っていると?」 「そうなりますな。アルシェリットは王宮近衛騎士団の中でも破壊力はトップクラスですが、対人戦闘能力はそれ程高くは無い。龍に捕われずに術者を倒すのが得策。対魔術師戦闘においてもそれが常道。それを彼は行っていない」 「彼は勝てないと?」 「勝てませんな。何か隠し玉でもなければ」 きっぱり老騎士は言い切る。 パリキスは両手を握って、少し俯いたようだった。 その様子を老騎士は、目を細めて顎髭を摩りながら見ていたが、 「まあ、試験結果は勝敗とは関係はないですからの~。それに普通ドラゴンと戦う方を選ぶ勇気がある奴も少ない。その点は好評価でしょうな」 と、温和に告げる。 それを聞いてパリキスは微笑した。 「ガルンは勇気だけは、特大のを持っているからの。その点はわらはも知っておる」 そっと呪われた半身に触れる。 ガルンは何の躊躇もなく手を取った。 神の呪いすら畏れないのだ。龍ごときに恐れを抱くわけが無い。 パリキスはその手の温かさを生涯忘れないであろうと、しみじみ思う。 「ガルンは勝つぞ将軍? 我はそう思う。我がそう願うならば、彼はきっとそれに答えるであろう」パリキスの強気な物言いは珍しい。 老騎士は何やら楽しそうに笑みを浮かべた。
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