第十三章 王宮の騎士 #2

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訓練場は砂塵と黒煙が舞っていた。 ガルンが弾幕変わりにダークブレイズを振りまくった結果だ。 「どうした! どうした! そんな逃げ腰の攻撃なんて効かないよ! それとも持久戦狙いかい?!」 楽しそうにアルシェリットは笑っているが、声と顔に疲れが見える。 “創成偽龍”を使い続けるリスクはかなり高いようだ。 ガルンは動きながら思考を巡らせる。 ドラゴンのような凶悪な攻撃力を持つ相手に、エーテル強化無しで渡り合うのは不可能に近い。 そして、どのみち怪我の状態維持にチャクラを一つ使用しなければならない。 幽体喰いが出来れば話しは早いが、こんな清浄な城に幽体など転がっている筈も無く、自ずと攻撃に回せるチャクラ数も限られてくる。 (……そう言えばカナンにレクチャーされたばかりだったな。賢い戦い方をしろって) 朝靄の中でのカナンの動きを思い出す。 卓越したチャクラコントロールは神業に近い。 ガルンは、グラハトに才能があると言われていたが、どう考えてもカナンの方が天賦の才があるとしみじみに思う。 (カナンのようにチャクラを同時平走、瞬間切り替えを可能に出来れば……) ガルンはその場で脚を止めると、ダークブレイズを正眼に構える。 動きの止まった姿を黒龍は捉えた。
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