第十三章 王宮の騎士 #2

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ダークブレイズの炎が黒く染まっていく。 赤眼が光り輝くと同時に、魔剣は振り下ろされていた。 撃ち出された赤光は、放たれた黒炎の手前で大きく軌道を変えていた。 ガルンの遥か後方に着弾して、床を熔解する。 黒炎の超高熱が大気を歪ませて、魔眼の軌道をずらしたのだ。 逆に黒炎弾は、赤光など毛ほども妨げにならずに黒龍の顔にヒットした。 龍が苦鳴の声を上げる。 大気の温度がいきなり上昇した為、アルシェリットも苦悶の表情を浮かべた。 「何だ、この黒い炎は?!」 「くそっ!」 ガルンは歯ぎしりしながら、チャクラを脚力に回す。 瞬間的に、状態維持に使用しているチャクラをダークブレイズに回したのだが、純黒の域までには及ばなかったようだ。 だが、黒き炎でも威力は十分高い。 黒龍の頭部の鱗が溶けて割れている。高位の大呪文に匹敵する火力だ。 なにより熱波の影響か、龍の目が閉じられている。 (チャンス!) ガルンは一気に間合いを詰める。 目の端に、鎌を振りかぶるアルシェリットが見えた。 「滅陽神流剣法、無式五十型・紫電」 真横一文字斬り。 迫り来る気流の波を一刀両断にする。 「なっ?! 風を切り裂いた!」
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