125人が本棚に入れています
本棚に追加
驚嘆して目を見開くアルシェリットを無視して、ガルンは疾風となって黒龍に迫る。
疾走しながらスラリと妖刀を抜き放つと、大地に赴ろに突き刺した。
「吹きすさべ!蝶白夢(ちょうのしらゆめ)!」
妖刀から放たれた水流によって、ガルンは水柱に乗る様に空中に舞い上がった。
天を突くような竜頭の、さらに上をとる。
そこで妖刀を真横に切り払うと、水柱がまるで花火のように空中で霧散した。
放射された水しぶきが、水泡になり、そこから蝶に変わる姿は圧巻だ。
全員が空中に描かれた、幻想世界に息を呑む。
その中心で黒い華が咲いた。
片手持ちしたダークブレイズから、黒い焔が吹き荒れる。
(純黒には届かない! それでも攻撃力を上げるならば……!!)
瞬間的なチャクラ切り替え。
焔の維持に半分、残りは全て腕力に回す。
「滅陽神流剣法、無式十七型・裂穿!!」
黒炎が大気を歪ませ、神屠りの剣がそれに特異な可能性を吹き込む。
初撃を入れた龍の眉間に、裂帛の気合いと共に魔剣が叩き込まれた。
妙な耳鳴りが響き渡る。
黒龍の頭部に瞬間的に炎の亀裂が入ると、朽ちた花弁が散るようにあっさり分解した。
砕けた肉片が黒炎で燃え上がる。
血と炎塊が、汚らしくも鮮烈な花火を構築した。
最初のコメントを投稿しよう!