第十三章 王宮の騎士 #2

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驚嘆して目を見開くアルシェリットを無視して、ガルンは疾風となって黒龍に迫る。 疾走しながらスラリと妖刀を抜き放つと、大地に赴ろに突き刺した。 「吹きすさべ!蝶白夢(ちょうのしらゆめ)!」 妖刀から放たれた水流によって、ガルンは水柱に乗る様に空中に舞い上がった。 天を突くような竜頭の、さらに上をとる。 そこで妖刀を真横に切り払うと、水柱がまるで花火のように空中で霧散した。 放射された水しぶきが、水泡になり、そこから蝶に変わる姿は圧巻だ。 全員が空中に描かれた、幻想世界に息を呑む。 その中心で黒い華が咲いた。 片手持ちしたダークブレイズから、黒い焔が吹き荒れる。 (純黒には届かない! それでも攻撃力を上げるならば……!!) 瞬間的なチャクラ切り替え。 焔の維持に半分、残りは全て腕力に回す。 「滅陽神流剣法、無式十七型・裂穿!!」 黒炎が大気を歪ませ、神屠りの剣がそれに特異な可能性を吹き込む。 初撃を入れた龍の眉間に、裂帛の気合いと共に魔剣が叩き込まれた。 妙な耳鳴りが響き渡る。 黒龍の頭部に瞬間的に炎の亀裂が入ると、朽ちた花弁が散るようにあっさり分解した。 砕けた肉片が黒炎で燃え上がる。 血と炎塊が、汚らしくも鮮烈な花火を構築した。
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