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「単身で龍を砕いただって?!」
アルシェリットは胸を抑えて呻く。
観客席に陣取る、王宮近衛騎士達もざわめきの声を上げた。
「何だそりゃ?!」
「サクラメント(成聖武装)でも、あれだけの攻砕力はないぞ」
「空間歪曲……いや、空間破砕に近い」
「物理攻撃じゃない? 新手のミスティリオン(神秘能力)?」
騎士達が騒ぐ中、首を失った龍はまるで石になったかのように急速に固まり、石像のように砕け始めた。
(咄嗟の事だが何とかなった。黒炎を剣に留めたままでの無式)
龍の残骸と共に落下しながらも、ガルンは魔剣の放つ黒い炎を胸を撫で下ろすように眺めた。
現段階で1番現実的な最大攻撃手段。
チャクラコントロールが疎かだった今までは、黒い炎を精製して撃ち出すしか出来なかった。炎を剣に留めて置く方が難易度は高かったのである。
微細なチャクラコントロール。それを練り上げた今のガルンならではの闘法であった。
安堵しているガルンを、いきなり下から竜巻が吹き飛ばした。
「……!!!」
アルシェリットが、鎌を振り払っているのが目に入る。
空中では気流の攻撃を防ぐ手段など無い。
「やってくれたじゃないか、こんチクショウ! 龍を倒されたら偶像創製に費やした、あたいの寿命と血は戻って来ない。寿命は三年は縮まっちまったよ!」
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