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第十四章 星降る夜に月は瞬く #2
「唐突で悪い。まあ、外の連中も驚いていたぐらいだからな」
ガルンは渇いた笑いを浮かべる。
外の王宮警備兵とは、パリキスの声が無ければ一悶着起こす所だった。
(しかし……。付近に王宮近衛騎士がいない? 式典に人数を割いている為か?)
微妙な違和感にガルンは首を捻る。
「今は式典の時間の筈じゃが? そなたは何故ここに?」
パリキスの疑問に、ガルンは微妙に固まった。
パリキスを卑下する王族連中に苛立って、その場を抜け出したとは流石に言えない。
考え込むガルンを見て、パリキスは微かに唇を綻ばせた。
「まあ、よい。理由は詮索せん。とりあえずお宝を貰いに来たと言っておったな?」
「あー、そうそう、それだ。サクラメント? とか言うやつだ。 与えるから、好きな者から選べとか言われたんでね。そんなら姫さんから貰おうかと」
それを聞いてパリキスは少し顔を曇らせた。
その変化にガルンは気がついたが、あえて無視する方向で行く。
「すまぬ……。サクラメントを造り上げるには……材料が足らぬ」
「材料?」
「この国のサクラメントは本来の物とは少し違う。王族の神霊力を持って、様々な鉱石や聖遺物のかけらと合わせ、儀式精製して作製された神秘武具をさすのじゃ。どちらかと言うと錬金魔術で造る武器に近い」
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