第十四章 星降る夜に月は瞬く #2

1/8
前へ
/35ページ
次へ

第十四章 星降る夜に月は瞬く #2

「唐突で悪い。まあ、外の連中も驚いていたぐらいだからな」 ガルンは渇いた笑いを浮かべる。 外の王宮警備兵とは、パリキスの声が無ければ一悶着起こす所だった。 (しかし……。付近に王宮近衛騎士がいない? 式典に人数を割いている為か?) 微妙な違和感にガルンは首を捻る。 「今は式典の時間の筈じゃが? そなたは何故ここに?」 パリキスの疑問に、ガルンは微妙に固まった。 パリキスを卑下する王族連中に苛立って、その場を抜け出したとは流石に言えない。 考え込むガルンを見て、パリキスは微かに唇を綻ばせた。 「まあ、よい。理由は詮索せん。とりあえずお宝を貰いに来たと言っておったな?」 「あー、そうそう、それだ。サクラメント? とか言うやつだ。 与えるから、好きな者から選べとか言われたんでね。そんなら姫さんから貰おうかと」 それを聞いてパリキスは少し顔を曇らせた。 その変化にガルンは気がついたが、あえて無視する方向で行く。 「すまぬ……。サクラメントを造り上げるには……材料が足らぬ」 「材料?」 「この国のサクラメントは本来の物とは少し違う。王族の神霊力を持って、様々な鉱石や聖遺物のかけらと合わせ、儀式精製して作製された神秘武具をさすのじゃ。どちらかと言うと錬金魔術で造る武器に近い」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加