第十四章 星降る夜に月は瞬く #2

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パリキスは申し訳なさそうに少し俯く。 「わらわは……それを成す為の聖遺物を持っておらぬ。わらわでは不完全なサクラメントしか作れん……」 ガルンは小さく両手で服を握るパリキスを、不憫そうに眺めた。 それから指で頬を掻きながら溜め息をつく。 「一つ質問だが、別にサクラメントとやらは、強かろうが弱かろうがサクラメントなんだろ? 要は王宮近衛騎士団に入団した人間が、しきたり的に王族からサクラメントって物を、貰うってだけの話しに思えるが……違うか?」 「概ねそうじゃが、本来得られるサクラメントは一級品。それだけでも戦局を左右する程のものじゃ。兄様達なら、わらわより遥かに優れたサクラメントを与えてくれる筈。それではそなたに申し訳ない……」 それを聞いて、ガルンは鼻を鳴らした。 「それなら問題ないさ。 俺はダークブレイズがあれば十分。それに蝶白夢もある。これ以上武器を貰ったって、正直扱い切れ無いさ」 わざとらしく両手を肩辺りまで上げて、ジェスチャーする。 脳裏にアルシェリットの鎌が思い浮かんだ。 確かに在れば強力な武器ではあったが、なければならない物でも無い。 現にアルシェリットは、後半は自分の十八番の“創成偽龍”しか使っていなかった。 練度の低い武器より、今まで自分の培って来た武器の方が、使い勝手が良いのは当然の事である。
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