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「そう……なのかえ? わらわのサクラメントは上質とはいかんせん。それでもいいのかや?」
「勿論。そもそも俺が此処に来たのは姫さんの為だ。それ以外に興味は無い。貰える物も同様だ。どうせ貰うなら姫さんの物を頂くよ」
ガルンはニコリと笑って、親指を上げる。
パリキスはそれを見て、嬉しそうに微笑んだ。
何かほっとしたような、安堵した表情を浮かべる。
「それならば、わらわが持てる全てでサクラメントを造り上げて見せよう。完成を楽しみに待つが良い」
胸を張るパリキスは何故か得意満面だ。
歳相応の少女ぽさに、ガルンは軽く親しみを感じた。
「了解。貰える日を愉しみにしておくよ。」
ガルンはそう告げると、手を振って部屋を出ようとする。
それに気付いてパリキスは慌てて声をかけた。
「まてガルン! 話はまだ終わっておらん」
「……?」
呼び止められて、ガルンはゆっくり振り返った。
式典を抜け出した手前、余り長居をするのはまずい気もする。
振り向かせてから、パリキスは微妙に硬直した。
何も考えずに呼び止めてしまったようだ。
自分の衝動的な行動に戸惑いを覚える。
兎のようにそわそわしているパリキスを、ガルンは不思議そうに眺めた。
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