第十六章 這い寄る凶鬼 #2

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しかし、スピカはそれを遮るように身体を移動しだした。 「……なんのつもりだ」 「……立入禁止」 「姫に話があるだけだが?」 「誰も通すなと……言われて……る」 「……」 ガルンは片眉を微妙にひくつかせてスピカを睨み付けた。 しかし、スピカは特に萎縮した感じもなく、のほほんと構えている。 「話しがあるだけと言っている」 「話しも……だめ」 ガルンのこめかみに青筋が走る。 「力付くで通るぞ、コンニャロー?」 「力……づく?」 スピカの瞳が怪しく光った。 スピカは背に銀色の弓矢を装備している。見たままだと遠距離支援タイプと言ったところだろう。 チャクラ開放者でも無い。 この間合いならば、スピカがガルンに勝てる要素は見当たらない。 本気で力圧しで通り抜けようとして、ガルンはビタリと足を止めた。 「私も……力付くで……防ぐよ?」 「……」 ガルンは首筋に添えられた、刃の切っ先の冷たさに生唾を飲み込んだ。 背後から切っ先が首元に来ている。 (何だこれは……?) よくよく見ると、スピカの背中から銀色の雫のようなモノが足元を伝って、ガルンの足元に伸びていた。 それが、ガルンの身体を伝って首筋に刃となって 現れたのである。
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