第十七章 砕けぬ想いと砕けぬ盾

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晴れ渡った空は、外で運動をするには絶好の日和と言えよう。 適温の気温もそれに輪をかける。 約束の日は、何の問題もなく訪れた。 王宮近衛騎士団の入団試験に使った屋外訓練場、そこには二人の騎士が立っている。 一人はガルン。 もう一人は予想通りベウィックと言う名の者だ。 試験時に破損した箇所も今では綺麗に修復されている。 観覧の主賓席にはパリキスの他に、四人の王族が座っていた。 第一王女セルレイン。 盾を提供した第三王女アルセリア。 それに、予想通り第一王子ダムスライドの姿もある。 それを護るように、王宮近衛騎士が幾人か周りを囲んでいた。 「さてと、後はパリキスを信じるだけか」 ガルンの呟きは広いフィールドに飲み込まれた。 対峙する青髪の騎士は黙したまま動かない。至極自然体だ。 手にする斧槍からは、威圧的な気配が漂っている。 「揃っているようだな」 ヌッとガルンの影から姿を現したのはアズマリアだ。 酷く疲れた顔をしている。 気苦労か、ガルンに受けた怪我の影響かは分からない。 二人を見てから主賓席に顔を向ける。 「パリキス王女のサクラメント強度試験。開始をするが何か異存は?」 アズマリアの言葉を受けて、セルレインが席を立った。 「特に先に決めた取り決め以外に、変更は無い。そうであろう第四の?」
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