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ハイエルフの持つ世界地図によれば、ここは西方大陸であり、故郷の島国アーゼーイールは遥か北方にある事を確認した。
寒い大地には良い思い出は少ないが、隠遁して暮らすには適しているかもしれない。
パリキスには北の生活は厳しいかなと、ぼんやり想像する。
「まあ、合格点かな? 僕好みの回答と言えよう。僕の秘宝をあげて後悔はなかったかな?」
「……秘宝?」
アルセリアの言葉に、ガルンは片眉を上げた。
いまいち要領を得ない。
「パリキスが今造っているサクラメントの雛形は、僕の保有秘宝の一つなのさ。彼女の宝物庫の中身は使い物にならなくなっていたからね」
そう言うとアルセリアは苦笑した。
大方、そちらの予測は付いているようだ。
「正直……俺は今回の事、全てが納得行かない。こんな横暴がまかり通る事じたい許せない」
ガルンの目が険しくなる。
アルセリアはそれを感じて、何やら微妙な表情を浮かべた。
憂鬱そうな中に、諦めに似た妙な雰囲気が纏わり付く。
「セルレイン様にも色々思う所があるのだ。多少の我が儘は許してやって欲しい」
アルセリアの言葉に、ガルンの頬が引き攣る。
この王女にしろ、パリキスにしろ、何故我慢しているのかガルンには理解出来ない。
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