第十七章 砕けぬ想いと砕けぬ盾

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ハイエルフの持つ世界地図によれば、ここは西方大陸であり、故郷の島国アーゼーイールは遥か北方にある事を確認した。 寒い大地には良い思い出は少ないが、隠遁して暮らすには適しているかもしれない。 パリキスには北の生活は厳しいかなと、ぼんやり想像する。 「まあ、合格点かな? 僕好みの回答と言えよう。僕の秘宝をあげて後悔はなかったかな?」 「……秘宝?」 アルセリアの言葉に、ガルンは片眉を上げた。 いまいち要領を得ない。 「パリキスが今造っているサクラメントの雛形は、僕の保有秘宝の一つなのさ。彼女の宝物庫の中身は使い物にならなくなっていたからね」 そう言うとアルセリアは苦笑した。 大方、そちらの予測は付いているようだ。 「正直……俺は今回の事、全てが納得行かない。こんな横暴がまかり通る事じたい許せない」 ガルンの目が険しくなる。 アルセリアはそれを感じて、何やら微妙な表情を浮かべた。 憂鬱そうな中に、諦めに似た妙な雰囲気が纏わり付く。 「セルレイン様にも色々思う所があるのだ。多少の我が儘は許してやって欲しい」 アルセリアの言葉に、ガルンの頬が引き攣る。 この王女にしろ、パリキスにしろ、何故我慢しているのかガルンには理解出来ない。
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