第十七章 砕けぬ想いと砕けぬ盾

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おおらかな性格――だけでは説明がつかない。 不満そうなガルンを見兼ねて、アルセリアはゆっくりと話し出した。 「セルレイン様は来年には嫁がれる。有り体に言えば政略結婚だ。王家の女子に自由など端からないからね。それに比べれば、僕やパリキスは自由が効く方なのさ。王位継承権はあるけど、分家扱いに近いからね。正統血族では末席さ。がんじがらめの政略結婚等の枠には当て嵌められていない」 「未来が選べないから、今は自由に羽根を伸ばせてやれって事か……」 ガルンの例えにアルセリアはクスリと笑った。 この少年は世間知らずのようだが、物事を把握する能力はかなり高いと判断する。 「セルレイン様達が隔たりを作ってくれれば、くれる程、国上層部や他国の僕らの政治的価値は高く無くなる。ある意味、有り難い事なんだよ」 ガルンは憮然とした表情で沈黙した。 言いたい事は何となく分かったが、だからと言って今までの行為を正当化する程の理由にはなら無い。 (自分が不幸だから、他の者にも不幸を感じさせたいって事なのか……? そんなのはただのエゴだ) 地面を見つめるガルンを見て、アルセリアは飽きれ顔で肩を寄せた。 「まあ、君は曲がった事は嫌いそうだからね。気に食わないなら、サクラメントの競い合いで勝利したら、セルレイン様に言ってみたらどうだね? 勝てたら望みを一つ叶えて貰えるのだろ?」
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