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「あの口の聞き方では、王族侮辱罪で投獄されても文句は言えませんな」
真後ろにある巨木から声がする。
正確にはその背後からだ。
そこには銀の短髪の壮年の騎士がいた。
服装は王宮近衛騎士の白いマント姿であり、背中には肉厚の大剣が備わっている。
ガルンと同じ王宮近衛騎士なのは間違いないだろう。
「ふむ。マグリネス殿は彼をどう思う?」
「背後にいる私には気付いていましたな。気配は完全に殺していたツモりでしたが。感がいいのか、良い“眼”でも持っているのか……」
「それは僕も気付いた。初めに来た時に背後を気にしていたからね」
「聞きしに勝る実力はありそうですな。ただ、あの潔癖性のような真っすぐな性格は吉と出るか、凶と出るかは分かりかねます」
騎士の言葉をアルセリアは面白そうに聞いた。
「潔癖性のマグリネス殿に、そこをつかれるとは面白い逸材だ」
関心しているのか、納得しただけなのかはよく分からない反応だが、アルセリアは何やら嬉しそうな顔をする。
「パリキスの事は頼んだよ、ガルン殿」
その呟きを聞いて、マグリネスと呼ばれた騎士は静かに微笑んだようだった。
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