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ガルンが通されたのはパリキスの部屋では無く、中央階層より三階下の聖堂であった。
その中にある儀式室は、様々な儀式や術式を大々的に行える場所であり、サクラメントの錬成をするには必要な場所である。
中々、中央階層から出れないパリキスでも、自由に行き来できる数少ない区画であった。
通された部屋は、何やら神殿のような造りになっており、中央の窪みにパリキスが立っている。
そして、パリキスの横に浮かんでいる、妙な物体に気がついた。
肉厚な十字架……と言うよりは細い菱形のような物体だ。
まるで、風船のようにふよふよと浮かんでいる様は凧の様だが、糸は見当たらない。
「……?」
それを見てガルンは眉を寄せる。
それのせいか、何やらそわそわしているのか、ばつが悪いのかよく分からない表情でパリキスはガルンをチラチラ見つめててきた。
ガルンは無造作に頭を掻きながらパリキスの元に歩み寄ると、軽く辺りを見回す。
サクラメントらしき物体は見当たらない。
この浮いている物以外には。
「……もしかして、これがサクラメント?」
完全な疑問系である。
パリキスは申し訳なさそうに、両手の指を突き合わせて上眼使いにガルンを見つめた。
「そうじゃ。そなたの希望の品には程遠くてすまん」![image=347642340.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/347642340.jpg?width=800&format=jpg)
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