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「そう……か」
ガルンは視線を外して、ばつが悪そうに頬をかいた。
パリキスの気持ちを無視した、勝手な利己的な考えであった事に気づく。
パリキスは初めからガルンを護るモノを作りたかったのだ。
その点、ガルンはサクラメントの競い合いで、勝つ事しか考えていなかったと言える。
それが二人の温度差を生んだのだろう。
(しかし……マジにどうしたものかな)
ガルンは口に手を当てて、盾を凝視した。
盾自体は発掘された物体のためか、それほど真新しくは無い。
形は菱形に近く、装飾されている宝石の様なモノが中央にはまっているだけだ。
「……?」
ガルンは目を細めた。
はまっている宝石のようなモノには見覚えがある。
宝石の中には別の鉱石が封入されていた。
絶句。
ガルンは渋い顔でパリキスを睨み付ける。
いきなりの視線にパリキスは目を丸くした。
「なんじゃ? 今更、他のモノにしろとか言われても無理じゃからな!」
少し後退ったのは、期待に応えられなかったと言う背徳感だろうか。
そんなパリキスを無視して、ガルンは盾の中心を指さした。
「どう言う事だパリキス! これはお袋さんの形見だろ!!」
指差した中心、宝石の中には、赤、青、碧の勾玉が封入されていた。
天三輝(あまのみつき)と呼ばれる東方の宝玉が。
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